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第7回 日本腫瘍学会学術集会①

第7回 日本腫瘍学会学術集会①

がん統合医療における薬用植物タヒボの使用経験
■2010年11月21日 東京都
「Using the Medicinal Plant “Taheebo” in Integrated Cancer Medicine」
Shoji Hirata (Hirata Clinic for Oral and Maxillofacial Surgery and Medical Oncology, Cancer Care Village Sapporo)
近年がん治療において、現代西洋医学に自然治癒力を増強させること を目的に、サプリメントやいろいろな補完代替医療が併用さる「がん統合医療」 が注目されている。
なかでも、南米ブラジル・マゾン川流域に生育する薬用植物タベブイア・ アベラネダエ(通称:タヒボ)から分離・抽出された機能性成分「NQ801」は、 癌や生活習慣病に対しての有用性を示す数多くの研究結果が報告され、 さらに正常細胞に対する安全性も確認されている。
「NQ801」は、タベブイア・アベラネダエ(以降TAと記述)の樹皮(靭皮部) に含有される天然の植物色素ナフトキノン類の一種で、とくに抗がん作用 が注目されており、がん細胞に対する①直接作用(アポトーシス作用)と② 間接作用(免疫賦活作用)、そして③補助作用(抗酸化作用、鎮痛・鎮静 作用)が研究・報告されている。
そこで今回、当院で「NQ801」成分を含有するTAエキス末(樹皮を熱水 抽出したエキスのスプレードライ加工品)を使用する機会を得たので、「NQ801」 が「がん統合医療」にもたらす意義と役割について、臨床的な検討を行った。
方法は、がん統合医療を目的に①術前、②術後、そして③進行がん患者 (緩和医療)に、TAエキス末と最近開発されたTA強化エキス末を飲用させ、 その臨床効果を調べた。
TA強化エキス末は、TAエキスに「NQ801」フラクション分画を添加し、 「NQ801」の含有量が6倍となるよう強化したエキス末品である。
その結果、TAエキス末(NQ801)を術前治療として低用量抗がん剤と固 形がんに対し併用した場合、手術摘出組織の病理学的検索からNQ801は、 DNAが損傷を受けたがん細胞周囲にCD4,CD8陽性T細胞を誘導・浸潤 させることが示唆された(抗腫瘍効果:アポトーシス作用・免疫賦活作用)。
また抗がん剤を使用している間も、副作用や食欲不振は見られなかった。
さらに術後に用いた場合、免疫増加や抗酸化作用による再発や転移予 防の抑制も示唆され、再発予防としての使用意義も大きいと思われた。進 行がん患者においても緩和医療やPalliative Therapyの一つとして、副作 用を軽減しながら長期間の抗がん剤治療を可能にする役割も示唆された(腫 瘍との共存)。また、今回使用した両エキス末を比べると、TA強化エキス末 の方がより抗腫瘍効果が見られ、Dose dependence性も確認された。
以上より、有用成分「NQ801」の「がん統合医療」における使用意義は 大きく、その役割も臨床研究が進めばさらに増えるものと思われる。今後各 方面で同様の臨床研究が実施されることを期待したい。
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