第12回 日本補完代替医療学会学術集会③
南米産薬用植物タヒボの生体内発がん物質、一酸化窒素誘発発がんに対するがん予防作用■2009年11月21日~23日 和歌山県・伊都郡高野町
「Chemoprevention of Nitric Oxide Donor-Induced Carcinogenesis by Brazilian Herb Taheebo」
Nobutaka Suzuki and Harukuni Tokuda (Kanazawa University , Graduate School of Medical Science), Mitsuaki Yamashita and Masafumi Kaneko (Faculty of Pharmacy, Takasaki University of Health and Welfare) , Akira Iida (Faculty of Agriculture, Kinki University)
【目的】
生体内で種々の感染や炎症により通常の約1000倍量発生するとされる一 酸化窒素(NO)等の活性分子種であるパーオキシナイトライト(PN)は強い細 胞毒性を示すとされている。今回我々は、マウス皮膚においてこの化合物が 顕著な発がん性を示すことを認め、これをひとつのモデルとして、ヒトが通常摂 取している市販化合物についてのがん予防効果を検討した。
【方法】
PNを発がんイニシエーションとして、TPA[12-0-tetradecanoyl phorbol- 13-acetate]をプロモーションとする系で実験をおこなった。イニシエーション過 程の前後1週間の計2週間、飲水の方法でTabebuia avellanedea(TA)の エッセンスを作用させ、発がん処理21週目において腫瘍の発生を観察した。
さらにたんぱく質レベルの検討をウエスタン・ブロット(WB)法を用いて行った。
【結果】
TA投与群では腫瘍数がコントロール群と比較して60%、腫瘍発生率は40% 以上の減少を示した。
【結論】
今回は生体内で大量に発生した状態では疾患を誘起するとされる一酸化 窒素(NO)による発がん誘発に対して、ブラジル産天然薬用植物であるTAの 有用性を検討したところ、TAは感染や炎症状態での発がんに対しても予防 効果が認められることが示唆された。