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第27回 メディシナルケミストリーシンポジウム

第27回 メディシナルケミストリーシンポジウム

ブラジル原産Tabebuia avellanedea 由来活性成分の合成研究および生物活性
■ 2008年11月26日~28日 大阪府・大阪市
「Synthesis and biological evaluation of bioactive constituents from the Brazilian plant, Tabebuia avellanedae」
Mitsuaki Yamashita and Masafumi Kaneko (Faculty of Pharmacy, Takasaki University of Health and Welfare), Harukuni Tokuda (Department of Biochemistry, Kyoto Prefectural University of Medicine), Katsumi Nishimura (Organic Chemistry, Kobe Pharmaceutical University), Bacowsky Helmut (Zentrum Nosomi Clinic), Akira Iida (Faculty of Agriculture, Kinki University)others
【背景】
ノウゼンカズラ科Tabebuia avellanedea(Taheebo)は、ブラジルから北ア ルゼンチンまでの南アメリカを原産とする大木である。本植物が、抗がん、抗 真菌、抗菌、抗炎症等の効果を示す医薬資源として着目されたことから成 分研究が進み、ナフトキノン類、アントラキノン類、ベンゾフラン化合物および ベンゼン誘導体等が単離された。その中でも、(-)-5-hydroxy-2-(1-hydroxyethyl) naphtho[2,3-b] furan-4,9-dione(1a)などのナフトキノン類に着目し研 究を行っている。天然物から化合物1aは光学活性体として得られてくるもの の収率は0.001%以下であり、その位置異性体である化合物1bはラセミ体と して得られてくる。化合物1a, 1bの合成は光学分割を除いては達成されて おらず、そのため詳細な生物活性評価も行われていなかった。そこで、化合 物1a, 1bの不斉合成法の開発を行った。化合物1a, 1bの光学活性体とそ の鏡像異性体の細胞毒性、がん予防効果、抗菌活性についての結果と合 わせて詳細を報告する1 。
【合成方法】
文献に従い1,5-dihydroxynaphthalene(2)を酸化して5-hydroxy-1,4- naphthoquinone(3)に交換した後、ジメチルアミンを用いて酸化的アミノ化を 行うと位置異性体4a,4bが各々48%と10%で得られた。酸加水分解をして 化合物5へと変換した後、ヒドロフラン環構築、MnO2による酸化を経て、各々 の異性体をケトン体7a,7bへと良好な収率にて変換した (Scheme 1)。
条件検討の結果、野依還元の条件にて不斉還元することで光学活性体 1a及び1bを良好な化学収率、不斉収率(89-97% yield, 95-97% ee)にて得 ることができた(Scheme 2)。
化合物1a及び 1bの鏡像異性体も同様の手法にて不斉合成した。合成し た光学活性体を用いて活性評価を行った。
【 結果・考察】
化合物1aは、ヒト腫瘍細胞に対してはマイトマイシンと同程度の細胞毒性を示した (EC50=0.14-0.96μM)。その一方で、化合物1a(EC50=11.1-54.5μM)はヒト正常細胞 に対してはマイトマイシン(EC50=0.93-2.1μM)の10倍以上細胞毒性が低いことが分 かった。化合物1bに対しても同様に細胞毒性試験を行ったが、期待するほどの 活性は示さなかった(EC50>1μM)。このことから、フェノール性水酸基の位置が 活性増強に重要である事が明らかとなった。また、化合物1aはグラム陽性菌及 び真菌類に対して抗菌活性を示すこと、in vitroの系で12-O-tetradecanoylphorbol- 13-acetate(TPA)による発がんの化学予防効果を示すこと、またin vivo の系 ではマウス皮膚二段階発がん試験において顕著な阻害効果を示すことも明ら かとなった。さらに1aを用いた前臨床試験の結果についても併せて報告する。
【参考文献】
1) Yamashita, M. et al. Bioorg. Med. Chem. Lett. 2007, 17, 6417.
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