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日本生薬学会 第55回年会

日本生薬学会 第55回年会

南米産伝統薬物 Tabebuia avellanedeaエキスの抗腫瘍効果
■2008年9月19日~20日 長崎県・長崎市
「Anti-tumor effects of extract from the Brazilian traditional medicine Tabebuia avellanedae」
Masafumi Kaneko and Mitsuaki Yamashita (Faculty of Pharmacy, Takasaki University of Health and Welfare), Akira Iida (Faculty of Agriculture, Kinki University), Harukuni Tokuda (Department of Biochemistry Kyoto Prefectural University of Medicine), Bacowsky Helmut (Zentrum Nosomi Clinic)
【目的】
悪性乳がんは日本とアメリカで女性に多いがんで、世界中で患者が増 加傾向にあるといわれている。Tabebuia avellanedea(Bignoniaceae: ノウゼンカズラ科)ブラジルから北アルゼンチンにいたる南アメリカに自生 する樹木で、500年もの間様々な病気に効果のある伝承薬として知られ ている。ブラジルで生産されるこの植物の内皮はアジアへ輸出され、ハー ブティーや健康食品として利用されている。近年、本植物ががんに効果 のある医薬資源として着目されて以来、その成分研究が進み、(S)-5-hydroxy- 2-(1-hydroxyethyl)-naphtho[2,3-b]-furan-4,9-dione(NQ801) 等のナフトキノン類やアントラキノン類が有効成分として報告されている。
我々はT.avellanedaeの抽出物やその成分であるNQ801がin vitroの 系でTPAによる発がんの化学予防効果を示すこと、またin vivoの系で はマウス皮膚二段階発がん試験において阻害効果を示すことを報告した。
T.avellanedae由来成分を乳がん治療に用いる際の安全性と信頼性に ついては未評価のままで、更なる活性の評価が求められるため、乳がん 細胞MCF-7に対する細胞毒性と増殖抑制活性を調べた。さらにこれら の医薬資源の前臨床試験の結果についても報告する。
【結果】
 我々はT.avellanedae抽出物とNQ801がMCF-7細胞に対して、3日 間の処理において濃度依存的に増殖抑制効果を示すことを見出した。
細胞毒性に関しては、通常の使用形態である抽出物では微弱な活性で あったが、そこに含有する主たる活性成分であるNQ801については強い 活性を示し、この“物”ががんに対して評価可能な伝統薬物であることが 裏付けられた。
【考察】
 T.avellanedae抽出物とNQ801が示したこれらのデータはこれらの薬 用資源ががん治療において細胞の増殖を遅らせることにより有効な効果 を示す可能性があることを示唆している。
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