統合腫瘍学会 ~上海国際シンポジウム2008
天然由来の抗発腫瘍、抗発がんプロモーターとしてのタベブイア・アベラネダエ抽出物とその成分■2008年4月25日~26日 中国・上海市
「Tabebuia avellanedae extract and its constituents as natural anti-tumor activity and anti-tumor promoting substance」
Harukuni Tokuda (Department of Biochemistry, Kyoto Prefectural University of Medicine)
【目的】
500年に亘って、よく知られた種々の疾患に対して、医学的に 処理に用いられた南米のブラジルからアルゼンチン生育する樹木 であるタベブイア・アベラネダエ(TA)について、とくにブラジルにて 産生する樹木の内部樹皮が、健康目的に薬用飲料としてアジア にて用いられていることから、その科学的解析を進めた先に、 われわれはTAエッセンス(TAess.)とそこに含まれているナフト キノン型化合物NQ801が、TPAの誘発阻害試験法で評価される ことを報告した。今回はこの天然由来資源物の動物試験での 評価について報告する。
【方法】
抗発がんプロモーター試験は、抗発がんプロモーターを目的とし て確立された簡易短期検出法にて行い、試験管内抗腫瘍活性試 験はトリパンブルー染色法にてヒト由来がん細胞を用いて行った。
動物試験は皮膚、並びに肺発がん試験にて評価した。
【結果】
われわれの抗発腫瘍試験では、タベブイア・アベラネダエエッセンス (TAess.)は、がん細胞増殖に対して弱い細胞毒性を示したが、 一方、TAの内部樹皮に含有する合成したNQ801での処理による 毒性試験では、TAess.ならびにTAの主たる化合物であるラパコール に比較して強い活性を示した。天然物由来の発がんプロモーター 活性に関しては、われわれはマウス皮膚二段階抑制試験である DMBA-TPAの系で評価した。SENCARマウスにてDMBAを一回 塗布して初発因子とし、続いてTPAを週2回処理して促進因子と して20週間続ける方法である。腫瘍の発生率は陽性コントロール にて100%で腫瘍数は6から7個であるが、この研究でのNQ801で 処理では、試験終了時にてほぼ70%の抑制効果を示した。
TAess.に関して、4NQOとグリセロールによるマウス肺二段階抑制 試験をTAess.の飲料という形態で行い、ほぼ同様の結果を得た。
【結論】
これらの結果は、TAess.、とその活性成分である合成NQ801の 抗発がんと抗発がんプロモーター効果を明らかにするとともに、 われわれが目指している実験的代替医療試験の方法確立の ために、これらが有用な方法であると考えている。