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分子標的とがん治療に関する国際会議2007

分子標的とがん治療に関する国際会議2007

抗発がんプロモーター(がん予防剤)のスクリーニングを目的とした試験管内短期検出法
■2007年10月22日~26日 米国カリフォルニア州・サンフランシスコ
「Screening method of short term in vitro assay for anti-tumor promoters, (chemopreventive reagents)」
Harukuni Tokuda (Department of Biochemistry, Kyoto Prefectural University of Medicine), Masafumi Kaneko and Akira Iida (Faculty of Pharmacy, Takasaki University of Health and Welfare)
【序説】 
この研究の目的は、ブラジル産薬用植物であるタベブイア・アベラ ネダエについて、試験管内、小動物試験を行い、がん予防効果に ついて検討するものである。タベブイア・アベラネダエ(TA)は、南 米のブラジルから北部アルゼンチンにかけて自生する樹木で、薬 用植物として、500年以上に亘って種々の疾患に対して伝承薬物 として使用されてきた。ブラジル産であるこの樹木の内部樹皮は、 アジアでは主に飲料茶として供給されている。TAとそこに含まれる ナフトキノン化合物NQ801に対してその生物活性を評価することを 目的とするもので、この物質についてわれわれが確立した方法にて 試験、すなわち抗発がんプロモーター(がん予防剤)の試験管内での 検査方法と、小動物での皮膚での発がんに対する抑制試験である。
【材料と方法】 
ヒト由来リンパ種であるRaji細胞を用いて抗発がんプロモーター、 発がんプロモーターを短鎖脂肪酸と発がんプロモーターの相乗効 果を用いて迅速で簡便にスクリーニングをする方法である。発がん プロモーターがEBVに感染しているRaji細胞にて、その細胞表面 に初期抗原(Early Antigen EA)を発現する発がんプロモーターによ るEBVの活性化効果は酪酸と同時に反応させるとPKCを介して、 相乗的に促進する。興味あることにTPAによりEBV-EAが活性化 されるとき、同時にがん予防剤であるビタミンC、クルクミンや薬用植物 であるTAとそれに含まれるナフトキノン類を同時に培養するとその 活性が減少する。これらの試薬は、発がんプロモーター段階の阻害 剤で、がん予防剤としてマウスでのDMBA誘発発がんプロモーター も阻害する。
【結果】 
TA抽出液(TAess)とNQ801は、時間と濃度に依存してEBV-EA 活性を抑制した。抑制活性はTAess.に比較してNQ801が高く、また 構造相関も生理活性も一致した。動物を用いた試験として、雌 SENCARマウス(6週令)にTAess.を塗布に続いてTPA塗布で20 週間続ける試験を行った。発生した腫瘍数は60~70%、個数も マウスあたり4から5の減少を無処理と比較して、実験終了時に 示した。
【結論】 
この研究は a )試験管内試験においてTAess.とNQ801がTPAによるEBV-EA 活性を抑制した。
b)動物実験ではTAess.でも腫瘍発生を抑制した。そのことから、 新しく示したがん予防剤は、腫瘍のプロモーション段階の処理で活性を示した。
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