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日本生薬学会 第54回年会

日本生薬学会 第54回年会

ブラジル原産 Tabebuia avellanedea 由来活性成分の構造と生物活性
■2007年9月14日~15日 愛知県・名古屋市
「Structure and Biological activity of the constituent from Brazilian plant Tabebuia avellanedae」
Masafumi Kaneko, Mitsuaki Yamashita and Akira Iida (Faculty of Pharmacy, Takasaki University of Health and Welfare), Harukuni
Tokuda (Department of Biochemistry, Kyoto Prefectural University of Medicine)
【目的】
T.avellanedaeは、ブラジルから南アルゼンチンに至る南アメリカが原産の ノウゼンカズラ科の樹木である。古代インカの時代ではタヒボと呼ばれ、様々な 病気に効く民間薬として使用されていたと伝えられている。近年、本植物が がんに効果のある医薬資源として着目されて以来、その成分研究が進み、 (S)-5-hydroxy-2(- 1-hydroxyethyl)-naphtho[2,3-b]-furan-4,9-dione (NQ801)等のナフトキノン類やアントラキノン類が有効成分として報告されて いる。NQ801は様々な腫瘍細胞に対して強力な細胞毒性を示すと同時に、 強力ながん予防効果を持つことが知られている。本研究では、新規成分を 探索することを目的とし、T.avellanedaeのエタノール抽出物から生物活性 成分の単離、構造決定を行った。また、T.avellanedae由来成分の生物活性 の評価を行った。
【方法】
T.avellanedaeのエタノール抽出物を各種クロマトグラフィーにかけて得ら れた分画について、LCMS-IT-TOFにより分析を行い、NQ801の類縁 化合物を多く含むフラクションを明らかにした。このフラクションを分取HPLC により精製し、各種スペクトル解析によりNQ801類縁化合物群の構造の 解明を試みた。活性評価に関しては、各種がん細胞に対する毒性試験、 がん初期抗原発現抑制試験、マウスを用いた抗腫瘍活性試験を行った。
さらに、T.avellanedaeエキスの医薬素材としての有用性を実証するため、 NQ801類縁化合物群を含有する粗分画の生物活性評価も行った。
【結果】
NQ801類縁化合物を高率で含有するフラクションが、エタノール抽出物の ゲル濾過分画より得られた。NQ801類縁化合物群は各種がん細胞に対 する細胞毒性を示した。また、NQ801類縁化合物群は、Raji細胞における EBV-EA発現を抑制することが明らかとなった。さらに、NQ801類縁化合物 群はマウスを用いた実験においても抗発がん促進作用を示した。なお、NQ 801類縁化合物群を含有する粗分画の生物活性は、エタノール抽出物の 約300倍であった。
【考察】
NQ801類縁化合物群はがん化学予防効果を持つ医薬素材として有望 であると考えられる。
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