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第1回 食品薬学シンポジウム

第1回 食品薬学シンポジウム

ブラジル産薬用植物タヒボの生理活性に関する基礎および応用検討について
■2006年10月26日~27日 大阪府・吹田市
「Basic and applied studies for physiological activities of Brazilian traditional medicine, Taheebo」
Harukuni Tokuda (Department of Biochemistry, Kyoto Prefectural University of Medicine), Akira Iida (Faculty of Pharmacy, Takasaki University of Health and Welfare)
ブラジルを含む南米地域原産であり、数世紀以前より広範囲な地域で薬用 植物として種々の疾患に使用されている、ノウゼンカズラ科のタベブイア・アベラ ネダエ(タヒボジャパン株式会社より試料提供)が有するその生理活性の効果 を試験した。今回とくにわが国で医療現場で深刻な問題であり、法令でその 対処を開始される発がんに対するその作用を、in vitro とin vivo ならびに実際 に市販品を服用した、ヒトでの経過に関してもその可能性について検討した。
通常はその内部樹皮の微粉末を熱湯抽出液、または抽出液のフリーズドライ 形にしたエッセンスとして健常者、またがん患者等の罹患者が飲料水とし て自由摂取する形態である。このように普段使用されている商品のより詳細 なデーターを提供する目的もあり、その検討として含有化合物またその生理活 性の試験を進めた。
1)Tabebuia avellanedeaの含有化合物
これまでの報告では構造的にナフトキノンに属する化合物であるLapacholが 含有されており、その抗腫瘍活性が試験されているが、既存の抗腫瘍剤と同 程度の活性を示すことから、現時点では米国NCIにおいて保留ということに なっている。このような状況で演者らはより活性の強い化合物を検索した結果、 現在のところ、同様な構造を有する化合物として、5-hydroxy-2-(1-hydroxyethyl)- naphtho[2,3-b] furan-4,9-dioneを単離、構造決定し、数か国で特許を取得して 当化合物に関して、その使用形態である抽出物とともに検討した。加えて5-hydroxy- 2-(1-hydroxyethyl)-naphtho[2,3-b] furan-4,9-dioneについては合成が可能と なり、当薬用植物の強い活性物質のひとつとしてより詳細な検討を進めている。
2)エッセンスならびに5-hydroxy-2-(1-hydroxyethyl)-naphtho[2,3-b] furan- 4,9-dioneのがん予防効果
In vitro の試験系として、簡便で特異性が高く、主要な国際雑誌に数多く報 告し、国際的にも認知されている試験法である試験管内短期検出法(Epstein- Barr virus early antigen activation test, EBV-EA活性化抑制試験)を用い て、エッセンス、5-hydroxy-2-(1-hydroxyethyl)-naphtho[2,3-b] furan-4,9-dione 等を試験したところ、これまで認知されているがん予防剤であるカロテノイド類 と同程度、または強い抑制活性を示した。この結果を基に in vivo の試験法 としてがん予防剤の最も基礎検討項目である、マウス皮膚二段階発がん抑 制試験を試みたところ、試験対象物であるパピローマの発現に対し、エッセンス、 5-hydroxy-2-(1-hydroxyethyl)-naphtho[2,3-b] furan-4,9-dioneは発現の抑制、 発現の遅延効果を認め、特に5-hydroxy-2-(1-hydroxyethyl)-naphtho[2,3-b] furan-4,9-dioneはより強い作用を示した。
3)ヒトでの使用経験の例
一例として、このエッセンスのみを使用した食道がんにおいて、食道上部に異 常の感触時に、当エッセンスのみを毎日、服用した結果内視鏡観察で、徐々 に異常と思われる病巣箇所の縮小が認められ、現時点では同箇所での拡大 の影響はなく、この病巣での作用が示唆された。薬用、健康志向植物による、 がん予防機能性についてはますます重要視されることから、ここに示したよう な通常の生活の場で使用される“もの”の現実化の努力が必要と思われる。
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