日本生薬学会第53回年会
ブラジル原産Tabebuia avellanedeaの成分研究■2006年9月29日~30日 埼玉県・北足立郡伊奈町
「Studies on Chemical Constituents of Brazilian Plant, Tabebuia avellanedae」
Masafumi Kaneko, Mitsuaki Yamashita and Akira Iida (Faculty of Pharmacy, Takasaki University of Health and Welfare)
Harukuni Tokuda and Hoyoku Nishino (Department of Biochemistry, Kyoto Prefectural University of Medicine)
【目的】
ノウゼンカズラ科Tabebuia avellanedea(Taheebo)は、ブラジルから北アル ゼンチンに至る南アメリカを原産とする大木である。本植物は古代インカの 時代より、利尿や収斂効果を持つ民間薬として伝統的に利用されてきた。
本植物には生物活性分として多種多様なキノン類が含まれているが、その 中でも特に、(-)-5-hydroxy-2-(1’-hydoxyethyl)naphtho[2,3-b]furan- 4,9-dione(1)は様々な腫瘍細胞に対して強力な細胞毒性を示すこと、また 同時に強力ながん予防効果をもつことが知られている。我々は、すでに1の 化学合成を完成させるとともに、1のより詳細な生物活性を明らかにしつつ ある。
今回、1と混在する多くの微量成分の構造を明らかにするとともに、それら と1を含む化合物群をひとつの活性成分と見なし、その抗腫瘍活性を1の それと比較検討する。 【方法】 T. avellanedae のCHCl3エキスをシリカゲルカラムにて分画し、黄色を呈 する1を含む活性画分を得た。ヒト由来乳腺がん細胞(MCF-7)をDMEM 培地(1ml)で培養(5%CO2下36℃)し、これにDMSOに溶解した試料溶液 (2μl)を加え3日間反応する。細胞を採取し、浮遊細胞溶液(1ml)に同量の 0.5%トリパンブルーを加えて白血球計算盤にて生細胞を観察した。
【結果と考察】
活性画分25μgにおけるがん細胞の生存率は、合成品である1が5μMの ときのそれと同等であり、その抗腫瘍活性はT. avellanedae 水エキスの300 倍以上であった。この結果は、分離困難な多くの成分からなるこの活性画分 が、これ以上の精製なくしても十分に利用価値あるものであることを示唆した。
今後、混在する微量成分の構造決定を進めるとともに、本活性画分の他の がん細胞や正常細胞に対する効果を検討する予定である。