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環太平洋化学学会2005

環太平洋化学学会2005

ブラジルの伝統薬物Tabebuia avellanedea のがん予防効果
■2005年12月15日~20日 米国ハワイ州・ホノルル
「Chemopreventive Effect of Brazilian Traditional Medicine, Tabebuia Avellanedae」
Akira Iida and Shinichi Ueda (Formerly, Faculty of Pharmaceutical Sciences, Kyoto University)
Harukuni Tokuda and Hoyoku Nishino (Department of Biochemistry, Kyoto Prefectural University of Medicine)
ブラジルから北アルゼンチンまでの南アメリカを原産とするノウゼンカズラ科 Tabebuia avellanedea Lorentz ex GRISEBは、利尿、収斂、抗がん、 抗真菌、抗炎症等の作用を有する伝統的民間薬として周知されている。
以前、我々は本植物に含まれる抗腫瘍活性成分の一つである(-)-5- hydroxy-2-(1′-hydoxyethyl) naphtha[2,3-b]furan-4,9-dioneが、ラージ細胞に おいて、発がんの促進因子である 12-O-テトラデカノイルフォルボール-13-アセ テートによって誘導されるEpstein-Barrウィルス (EVB)の初期抗原の活性化 を阻害すること、ならびに、それがインビトロでがん化学予防薬として作用する ことを報告した。ブラジル産本植物の内皮がアジアでハーブ茶として流通して いることから、その研究結果は、我々にT. avellanedaeのがん予防効果に 調べるきっかけを与えた。タヒボジャパン(株)より供与された粉末状内皮の 水エキスをマウスに経口投与すると、初発因子DMBAと促進因子TPA、または 初発因子4NQOと促進因子8%グリセロールによってそれぞれ誘発された マウス皮膚あるいはマウス肺における発がんの促進が阻害された。このことは、 上記水エキスが果物や野菜と同様にがん予防のための機能性材料となり うることを示唆するものである。さらに、T. avellanedaeの脂溶性エキスについて 生物活性を指標に分画することにより、ナフトキノン類やバニリンのような簡単 なベンゼン誘導体を含む7つの既知化合物とともに、中程度のがん予防効果 をもつ新規クマリンを単離した。これらの化合物の中で、ナフトキノン類はがん 予防と密接に関係する抗酸化作用を示すことを見出した。本シンポジウムでは、 T. avellanedaeのエキスおよびその化学成分のがん予防活性に加え、エキス およびがん予防活性ナフトキノン類の抗酸化活性について述べる。
引用文献 1. Ueda S. et al. (1994) Phytochemistry 36:323-325.
     2. Wagner H. et al. (1989) Helv. Chim. Acta 72: 659-667.
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