第45回 米国細胞生物学会①
Epstein-Barrウイルス潜伏感染ヒト由来リンパ芽球様細胞を用いた抗発がんプロモーターのin vitro短期検出系■2005年12月12日~14日 米国カリフォルニア州・サンフランシスコ
「A Short-term in vitro Assay for Anti-tumor Promoters Using Human Lymphoblastoid Cells Latentry Infected Epstein-Barr Viru」
Harukuni Tokuda and Hoyoku Nishino (Department of Biochemistry, Kyoto Prefectural University of Medicine)
Akira Iida (Formerly, Faculty of Pharmaceutical Sciences, Kyoto University), others
発がんが質的に異なる2種類以上の段階を経て起こるという説は、 一般的に知られている事である。ヒトでの発がんにおいては、第二段階の プロモーションが第一段階のイニシエーションより重要な役割を果たすこと が示唆されている。ほとんどの発がんプロモーターはDNAに結合せず、 エイムス試験(変異原性試験)陰性である。一方、発がんイニシエーターは これらの基準の一方または両方を満たすのが通例である。最近、 Epstein-Barrウイルス(EBV)が潜伏感染し同ウイルスのゲノムが組み込ま れた細胞に、ホルボールエステルの中で最も強力な発がんプロモーター 活性を有するTPAと脂肪酸であるn-酪酸を添加すると、ウイルスによる発現 が誘導され、がん化に進むことが確認された。我々は、EBVを産生しない Raji細胞、各濃度の抗発がんプロモーターおよびがん予防剤添加による 検出系が、食用および薬用植物に含まれるある種のがん予防剤および 抗発がんプロモーターの実際的なスクリーニング法として有用であると考え ている。興味深いことに、TPAにより誘導されるEBV-早期抗原(EBV-EA) 活性化は、がん予防剤であるブラジル産薬用植物、食品着色剤および ビタミン類を適切な培養液に添加すると減少する。このことから、本研究で は、がん予防剤のスクリーニングおよび検出に有用な方法の確立を試みた。