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第53回 国際生薬学会①

第53回 国際生薬学会①

一酸化窒素ドナーで誘発されるマウス皮膚発がんでの天然物由来化合物のがん予防効果
■2005年8月21日~25日 イタリア・フローレンス
「Chemopreventive activity of natural compounds on Nitric Oxide donors induced Mouse Skin Carcino genesis」
Harukuni Tokuda and Hoyoku Nishino (Department of Biochemistry Kyoto Prefectural University of Medicine), Akira Iida (Formerly, Faculty
of Pharmaceutical Sciences, Kyoto University), others
今回の研究は天然物由来化合物(抗酸化物)であるポリフェノール クルクミン、タベブイア・アベラネダエ抽出液のがん予防効果を、一酸化窒素(NO)誘発発がんに対して進めたものである。以前に、試験管内試験系を用いて、これら抗酸化物がNOのスカベンジング(消去)作用を有することを報告した。このような基礎的な結果から、最近の実験としてこれら抗酸化物がマウスの皮膚を用いたNOによる発がんに対して、抑制作用を示すかを観察した。メスSENCARマウス(6週令)に一回のみパーオキシナイトライト(PN)塗布、その一週間後より週2回TPAを20週間塗布続けると実験終了時に100%のマウスに5から6個の腫瘍が産生した。この抗酸化物をPN塗布の前後一週間、つごう2週間、飲水として処理すると、われわれの観察でそれぞれ約60%の腫瘍発生の減少を認めた。ウエスタンブロット法を用いた細胞情報伝達系での解析でH-Ras,MEK等の発現が認められたが、抗酸化物質で処理するとその発現が抑制され、このような結果はSENCARマウス皮膚上の形態の知見とも、よく一致することが判明した。ここに示したデータは感染や炎症で引き起こされると思われる発がんに対して、実験で用いた試料ががん予防剤として作用する可能性を示唆するものである。
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