第96回 米国癌学会
一酸化窒素ドナー誘発発がんに対するキノン類、テルペノイド類のがん予防効果とそのMAPキナーゼ情報伝達での役割■2005年4月16日~20日 米国カリフォルニア州・アナハイム
「Chemopreventive activity of quinones and terpenoids agents in nitric oxide donor induced carcinogenesis and evaluation of the role Map kinase signaling pathway.」
Harukuni Tokuda (Kyoto Prefectural University of Medicine.), others.
薬用植物由来物質の動物モデルを用いた化学又は他の化合物を含む発がん物質による作用の予防として有用食物が知られている。一酸化窒素(NO)、それは重要な生理的な活性を調整する物質であり、突然変異原性を有し、微生物や哺乳類に変異を起こす。
われわれの研究室での以前からの研究で、マウスでの皮膚二段階発がん試験でNOドナーの1種であるパーオキシナイトライト(PN)溶液が発がんイニシエーション作用を示し、又、この作用に対して薬用由来茶類(タベブイア・アベラネダエ)の化合物が予防効果を示すことを認めた。しかし、そのマウスモデルでのPN誘発発がんでの基本的な作用機序に関しては不明であった。
われわれのヒトに対する有用がん予防剤のスクリーニング過程で、薬用茶に含まれるキノン、テルペノイドのPN誘発発がんイニシエーション作用に対する抑制作用を検討した。6週令SENCARマウスを用いた390nmolのPNを1回、発がんイニシエーションとして塗布した後、1.7nmol TPAを週2回塗布して促進する系である。陽性コントロールとして腫瘍発生率、数は100%で5から6個の腫瘍を実験終了時に示した。
この今回の研究の計画として0.0025%茶(タベブイア・アベラネダエ)由来エキスを発がんイニシエーション前後2週間自由摂取し、その後発がんプロモーション過程では飲料水のみで処理し、その効果を検討した。われわれの評価として、キノン、テルぺノイド類を含む化合物処理群では実験終了時に60-70%の減少を示した。
さらにそこから分離した皮膚たんぱく質を用いて、H-Ras,MEK,p38をウエスタンブロット(WB)法を用いてMAPK情報伝達系での作用を検討した。WB法での解析としてPN誘発活性に対して、MAPK過程での効果を観察し、これらのデータを基にしてキノン、テルぺノイド類を含む化合物のMAPK情報伝達系での抑制作用の1つとして、その系でのたんぱく質修飾作用であることを示唆する結果を得た。