第7回 高専シンポジウム①
タヒボ茶由来吸湿成分の精製■2002年1月26日 和歌山県・御坊市
「Purification of TAHEEBO tea-derived moisture absorbing components」
Miyo Miyazaki1), Hiroshi Shimofuruya1), Yoshihiko Kunieda1), and Fuminori Suzuki2)
1) Suzuka National College of Technology
2) Suzuka University of Medical Sciences
【緒言】
タヒボ茶(Tabebuia avellanedea Lorents and Griseb)の原木は,南米・アマゾン川流域に生育するノウゼンカズラ科タベブイア属アベラネダエ種という樹木であり赤紫色の花を咲かせる。この樹木の外皮と木質部の間に挟まれたわずか7ミリメートルほどの内部樹皮を原料としたお茶がタヒボ茶である。南米では1500年前から病気の治療にこのタヒボ茶が飲用されてきた。また、タヒボ茶は飲用以外に化粧水のように利用された経緯があり、皮膚癌の実験ではエキスを直接塗布し効果が確認され皮膚への吸収性も明らかにされた。このような背景のもと我々の研究室では、タヒボ茶から水で抽出した粉末(タヒボ茶水抽出物)に吸湿性があることを発見し新しい化粧品原料としての可能性が示唆された。そこで、このタヒボ茶水抽出物の吸湿性を示す成分がどのようなものであるかを明らかにするために分離精製することにした。
【実験方法】
タヒボ茶50gに500mlの蒸留水を加え沸騰水浴中で1時間加熱攪拌し、遠心分離機を用いて5000rpm、20分の条件で沈殿物を除去した後得られた上澄み液を凍結乾燥した。この操作によって得られた茶褐色の乾燥微粉末をタヒボ茶水抽出物とした。
吸湿成分の分離精製手段として、エタノール沈殿法、SephadexG-25、SephadexG-10を使ったゲル濾過クロマトグラフィー(展開溶媒:蒸留水)およびシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いた。
【結果・考察】
エタノール沈殿法やゲル濾過カラムクロマトグラフィーなどの手段を用いて分離精製を行なったところ、TLC上で単一成分までに分離精製することができた。また、得られた吸湿成分は硫酸・フェノール法に対して陽性でありニンヒドリン反応に対してはほとんど着色されなかったことから糖類である可能性が示唆された。さらにゲル濾過カラムクロマトグラフィーによる分離精製結果から吸湿成分は比較的低分子量の化合物であることがわかった。
今後は、吸湿成分の化学構造などを各種分析手段により決定したいと考えている。