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第7回 高専シンポジウム②

第7回 高専シンポジウム②

タヒボ茶由来保湿成分の部分精製
■2002年1月26日 和歌山県・御坊市
「Partial purification of TAHEEBO tea-derived moisture retaining components」
Yohei Kato1), Hiroshi Shimofuruya1), Yoshihiko Kunieda1), and Fuminori Suzuki2)
1) Suzuka National College of Technology
2) Suzuka University of Medical Sciences
【緒言】
今日、化粧品や除湿剤などの吸湿、保湿成分を含んだ製品が我々の日常生活において幅広く使用されているが、その成分である化学薬品が人体や環境に対し悪影響を与える事が問題視されている。そこで、人体や環境に対して無害でありかつ生分解性をも有すると考えられるタヒボ茶水抽出物の吸湿・保湿性について調べることにした。タヒボ茶水抽出物の吸湿性については宮崎(演題番号:D-07)が実施しているので本研究では保湿性について検討することとした。
【実験方法】
タヒボ茶水抽出物の調製は、宮崎(演題番号:D-07)同様に行なった。
タヒボ茶水抽出物4gに蒸留水100mlを加えて30分間攪拌した後、遠心分離器10000rpm、20分)を用いて沈殿物を除去し上澄み液を得た。
上澄み液をエタノール沈殿法で処理し遠心分離器にかけ沈殿と上澄み液に分けた。この過程で得られた上澄み液の凍結乾燥末を成分1、沈殿の乾燥粉末を成分2とし相対湿度64.8%のデシケーター及びシリカゲルを含むデシケーターの中での時間経過(2,4,6,8及び24時間後)に伴う各成分の水分残存率を算出して保湿能の指標とした。さらに保湿能のあった成分1をゲルろ過クロマトグラフィー法を用いて分離した。この過程で得られた画分(試験管No6~8、試験官No9~17、試験官No18~27)をそれぞれ成分3、成分4、成分5として同様に保湿試験を行なった。
【結果・考察】
相対湿度64.8%では成分1の水分残存率は時間の経過とともに増加し吸湿性の高いことが示された。一方、成分2では時間の経過とともに減少傾向にあった。また、シリカゲル中では成分1および成分2はともに時間の経過とともに水分残存率は減少傾向を示し、いずれも保湿能が粗標品であるタヒボ茶水抽出物より低下することがわかった。さらに、ゲルろ過クロマトグラフィーにより分離精製した結果、得られた成分3~5の保湿能も低下していた。従って、タヒボ茶水抽出物から保湿成分を分離精製することは保湿能の低下をもたらすため粗標品の状態で利用した方が有効な保湿剤として働くことが明らかとなった。
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