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第6回 高専シンポジウム

第6回 高専シンポジウム

タヒボ茶由来吸湿成分に関する研究
■2001年1月20日 東京都・八王子市
「Study on TAHEEBO tea-derived moisture absorbing components」
Hiroshi Shimofuruya1), Emiko Mori1), Yoshihiko Kunieda1), Fuminori Suzuki2), and Jiro Suzuki3)
1) Suzuka National College of Technology
2) Suzuka University of Medical Sciences
3) Toyohashi University of Technology
【目的】
近年、化粧品に代表されるように吸湿・保湿成分を含んだ製品が幅広く使用されているが、その成分である科学薬品が人体や環境に対して悪影響を与えることが問題視されており、それに代わる新しい吸湿・保湿剤の開発が求められている。
タヒボ茶から水抽出した粉末(タヒボ茶水抽出物)には強い吸湿・保湿能があり生分解性をも兼ね備えていると考えられるため、吸湿・保湿剤への応用が期待されている。今回、我々はタヒボ茶中に含まれる吸湿成分に注目しその部分精製を行なったのでここで報告する。
【実験方法】
1.タヒボ茶水抽出物の調整法
タヒボ茶50gを蒸留水500mlに加え沸騰水中で1時間攪拌抽出し、遠心分離により沈殿と上清に分けた。上清を凍結乾燥した後、得られた茶褐色の粉末をタヒボ水抽出物とした。
2.吸湿成分の部分精製
タヒボ茶水抽出物を蒸留水に溶解後、エタノール沈殿法により高分子化合物を析出させ遠心分離により除去した。エバポレーターを用いて上清中のエタノールを除去した後凍結乾燥した。得られた粉末を蒸留水に溶解しCellulofine GCL‐300mカラム(2.5×50cm)に負荷した。展開溶媒には蒸留水を用いた。溶出液はフラクションコレクターで15ml毎に分取し、凍結乾燥後吸湿する画分をSephadex G‐25カラム(1.5×50cm)にアプライした。同様に展開後、得られた画分を凍結乾燥した。
【結果】
Cellulofine GCL-300mカラムクロマトグラフィーの結果、2つの画分に吸湿能が検出された。これら両者の吸湿能を比較したところ、先に溶出された画分に強い吸湿能が観察された。強い吸湿能を示す画分をさらにSephadex G-25カラムに負荷したところ6つのグループに分画された。
それらの中で一つの画分に強い吸湿能が観察された。Sephadex G‐25の分画範囲(100-5000)から考えると、この強い吸湿能を有する画分は低分子量物質である事が示唆された。
従って、タヒボ茶水抽出物には、強い吸湿能を有する低分子量吸湿成分とそれ以外の少なくとも2種類以上の吸湿成分が含まれていることが明らかとなった。
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