トップ > 第5回 高専シンポジウム

第5回 高専シンポジウム

第5回 高専シンポジウム

タヒボ茶に含まれる鎮痛作用物質に関する研究
■2000年1月22日 福井県・鯖江市
「Study on analgesic substances contained in TAHEEBO tea」
Kensaku Morita1), Fuminori Suzuki1), Hajime Yamamoto2), and Hiroshi Shimofuruya3)
1) Suzuka University of Medical Sciences
2) Nagoya Municipal University
3) Suzuka National College of Technology
【目的】
タヒボ茶は南米ブラジルで自然生育したノウゼンカズラ科タベブイア属の樹木を原料とする天然樹木茶である。我々はこのタヒボ茶より得られた水抽出物に利尿作用、解熱・鎮痛作用、止血作用、抗腫瘍作用があることを(日本薬学会第117年会要旨集)報告している。今回、タヒボ茶抽出物の鎮痛作用に注目しどのような成分が鎮痛作用に関与しているかを調べたので報告する。また、従来の実験方法である酢酸ライジング法での鎮痛効果は知られているが、Kaolin-induced Writhing法での鎮痛効果について検討した。
【実験方法】
タヒボ茶100gに蒸留水2000mlを加え沸騰水浴中で1時間攪拌抽出し、その後ヒダ濾紙(ADVANTEC №131)を用いて自然濾過した。得られた濾液を凍結乾燥しタヒボ茶抽出物を得た。このタヒボ茶抽出物1gを40mlの蒸留水に懸濁させ Spectra/pro Membrane(SPECTRUM、分画分子量10000)を用いて2日間室温にて透析した。これにより得られた低分子量画分と高分子量画分の両者を試料として鎮痛効果を調べた。
また、高分子量画分については透析後の懸濁液を遠心分離(KUBOTA5800、8000rpm、30分)によって可溶性成分と沈殿物に分離した。
【結果と考察】
高分子量画分は可溶性成分と沈殿物に分かれたので各々について鎮痛作用を調べたところ、両者に良好な効果が認められた。一方、低分子量画分にも若干鎮痛作用がみられたがタヒボ茶抽出物の鎮痛作用は主として高分子量画分に依存していることがわかった。また、最も強い鎮痛効果が認められた可溶性高分子量画分をさらに Sephadex G-100(amersham pharmacia biotech)によるゲル濾過クロマトグラフィーにより各フラクションについて糖およびタンパク質を定量した。その結果、タンパク質は検出されず、2つの糖画分が得られた。このことから鎮痛作用に関与している成分が多糖である可能性が示唆された。今回行ったKaolin-inducedWrithing法ではKaolinが発痛誘発物質であるブラジキニンの産生を促進しそれが痛みの原因であるとされておりタヒボ茶抽出物が鎮痛作用を示したことからそのブラジキニン産生を抑制する可能性のあることが示唆された。
PAGETOP