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第52回 日本癌学会総会①

第52回 日本癌学会総会①

マウス二段階発癌における南米産薬用飲料の抑制効果
■1993年10月5日~7日 宮城県・仙台市
「Inhibitory effects of South American herbal tea on two-stage carcinogenesis in mice」
Shinichi Ueda1) and Harukuni Tokuda2)
1): Faculty of Pharmaceutical Sciences, Kyoto University
2): Department of Biochemistry, Kyoto Prefectural University of Medicine
マウス二段階発癌実験モデルを用いて、発癌予防に有用と思われる物質のスクリーニングを巾広く行なっている。その過程で主に南米地域において古来より、飲料用として使用されている植物Tabebuia avellanedeaについて、今回は一般に服用されている方法である、その粉末を水で煎じたろ液に関し、マウスの皮膚と肺における二段階発癌抑制実験を行なった。
マウス皮膚二段階発癌抑制実験はイニシエーターとしてDMBA100μgを塗布し、その1週間後よりTPA1μgをプロモーターとして、同部位に塗布、週2回の割合で20週間連続して処理した。陽性コントロール群(15匹)は通常の飲料水を、20週間続けて自由摂取する、一方、被験群(15匹)はプロモーション処理と同時に、先の50%ろ液を同様に自由摂取させ20週目において、発現されてくる腫瘍を比較したところ、発現腫瘍の数がほぼ40%の抑制率を示した。肺二段階発癌抑制試験は、イニシエーターとして4NQOを接種、プロモーターとして8%グリセロールを25週間経口投与する。
被験群(15匹)は50%ろ液を加えてその影響を検討したところ、肺での発現腫瘍数は70%の抑制を示した。また各実験中に定期的にマウスの体重を測定し、陽性コントロール群と比較を行ったところ、両試験とも被験群についてはほぼ同様の体重増加を示し、投与物質による生体への他の影響の関与はないものと思われる。投与群において抑制が認められたことで、本植物の水抽出液にもまた抗発癌プロモーション作用を有するものと判断される。
【目的】
マウス二段階発癌実験モデルを用いて、発癌予防に有用と思われる物質のスクリーニングを幅広く行なっている。その過程で主に南米地域において古来より、飲料用として使用されている植物Tabebuia avellanedeaについて、今回は一般に服用されている方法である、その粉末を水で煎じたろ液に関し、マウスの皮膚と肺における二段階発癌抑制実験を行なった。
【結論】
1) 発癌予防を目的に検索を行なっているなかで、有望視されている茶類に関して、南米等で薬用または健康飲料として用いられている樹木茶の原料植物に、強い抗発癌プロモーター活性が認められた。
2) その主な活性成分として、ナフトキノン類の化合物(1)と(2)を同定した。
3) この植物の内部樹皮を煎じたろ液が、皮膚および主要臓器である肺に対して、抗発癌プロモーター活性を示した。
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