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第2回 がん転移研究会

第2回 がん転移研究会

Tabebuia属植物由来ナフトキノン系成分の培養ヒト転移性肺癌細胞に対する選択的毒性
■1993年5月27日~28日 北海道・札幌市
「Selective toxicity of naphthoquinones derived from Tabebuia plant against cultured human metastatic lung cancer cells」
Keiichi Hirai1) and Shinichi Ueda2)
1) Department of Anatomy, Kanazawa Medical University
2) Department of Pharmacognosy, Faculty of Pharmaceutical Sciences, Kyoto University
【目的】
転移性悪性腫瘍に対するより有効な化学療法を確立するために、癌細胞を選択的に障害する抗癌剤の開発に多くの努力が払われている。我々は、ノウゼンカズラ科Tabebuia属植物から抽出される成分について培養ヒト肺癌細胞に対する増殖阻止作用、殺細胞作用等の抗癌性を検討した。
材料と方法:Tabebuia sp. の樹皮又はカルスから純メタノール及びクロロホルムで抽出されるナフトキノン系成分Compound-1P(C-1P)を得た。樹立系ヒト肺癌細胞を96穴プレート上で24時間の予備培養後、DMSOに溶解したC-1P(コントロールはDMSOのみ)を添加し、その後72時間の増殖曲線及び形態変化を比較した。
【結果】
肺腺癌A549、VMRC-LCD、SK-LU-1、肺扁平上皮癌Calu-1、肺小細胞癌SCCH-194に対するC-1Pの50%増殖阻止濃度(IC50)は凡そ13ng/m(l9.5~17ng/ml)であった。同時に検索した線維芽細胞N6KA、初代培養気管上皮細胞等のIC50は55~84ng/mlの範囲にあった。癌細胞では凡そ25~30ng/ml付近で細胞数の増加がみられなくなったが、この場合増殖速度と細胞死の速度が平衡状態になるのではなく増殖自体が抑制されたものであり、さらに高濃度になると癌細胞は壊死した。癌細胞の確実致死量は60~100ng/ml付近にあったが、正常細胞ではこの濃度で増殖が阻止されたのみであった。
以上の結果から、C-1Pがヒト肺癌細胞に対し増殖阻止及び細胞破壊を伴うかなり選択的な抗癌作用を有する可能性が示唆された。
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