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第51回 日本癌学会総会

第51回 日本癌学会総会

肺二段階発癌試験における南米産植物成分の抑制作用
■1992年9月29日~10月1日 大阪府・大阪市
「Inhibitory actions of South American plant components in two-stage carcinogenesis test of pulmonary tumors」
Harukuni Tokuda1), Hoyoku Nishino1), Akio Iwashima1), and Shinichi Ueda2)
1): Department of Biochemistry, Kyoto Prefectural University of Medicine
2): Faculty of Pharmaceutical Sciences, Kyoto University
薬用を含め巾広く飲料用としても用いられている南米産植物であるノウゼンカズラ科Tabebuia属植物について、抗発癌プロモーターに関する活性の検討を進めている。in vitroの抗発癌プロモーター試験であるEpstein-Barrウイルス活性化抑制試験においては、陽性コントロールに比較してその樹皮のエキスは500倍の濃度で50%の抑制を示した。また、in vivoのマウス皮膚二段階発癌抑制試験においても、同様にそのエキスは陽性コントロールに比較して、50倍の濃度で腫瘍の発生率を50%抑制した。
そこで抗発癌プロモーターとしての活性成分の単離を試みたところ、ナフトキノン系の化合物が得られ、これらの化合物についても同様の試験により強い抑制効果を示し、抗発癌プロモーターとして有用であることが判明した。
この実験成績をもとに、さらにこのエキスが生体内においても有効であるかを検討するために、肺二段階発癌抑制試験を行なった。エキスを8%グリセロール溶液としてプロモーション処理を行ない、8%グリセロール溶液のみの群と25週目で比較観察したところ、70%の抑制効果を示す結果が得られ、発癌予防としてその可能性が期待される。
〈結論〉
1. 南米産植物、Tabebuia avellanedea の内皮のアルコールエキスおよび熱水エキスは、抗発癌プロモーターに関するin vivoでの生物活性試験であるマウス皮膚二段階発癌抑制試験を行った結果、抑制効果のあることが判明した。
2. さらにその詳細な効果の解析を目的に、今後その発生頻度が増加すると思われる肺癌に関して、予防または抑制効果の検討としてマウスを用いた肺二段階発癌抑制試験を行った。内皮の熱水エキスの摂取により、肺での腫瘍発現に対し、抑制効果のあることが判明した。
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