トップ > 第49回 日本癌学会総会

第49回 日本癌学会総会

第49回 日本癌学会総会

南米産ノウゼンカズラ科Tabebuia属植物カルスに含まれる抗発癌プロモーターの検討
■1990年7月3日~5日 北海道・札幌市
164.火pmA3
「Study on antitumor promoters contained in the callus cells of Tabebuia plants of Bignoniaceae from South America」 Shinichi Ueda1) and Harukuni Tokuda2)
1): Faculty of Pharmaceutical Sciences, Kyoto University
2): Department of Biochemistry, Kyoto Prefectural University of Medicine
昨年の本学会において、南米で古来より飲料用として用いられているTabebuia(T.)属植物の、抗発癌プロモーション作用について報告した。
今回、有効成分を長期間、安定して得ることを目的に、同属植物T.avellanedae及びT.argenteaのカルスが生産する化合物について、その抗発癌プロモーション作用を検討した。カルスの抽出物で、EBウイルス(EBV)活性化抑制試験を行なったところ、TPAに対して500倍でそれぞれの試料は50%以上のEBV活性化抑制の効果を示し、抗発癌プロモーターの含有されている可能性が考えられた。そこで同様の試料ならびに、それより単離されたナフトキノン化合物についてマウス皮膚発癌二段階実験を行なったところ、TPA塗布による腫瘍の発生に対し、抑制する効果が認められ、抗発癌プロモーション作用を有することが明らかとなった。このことは、抗発癌プロモーターに関して、従来の植栽された植物中に含有される化合物と同様、植物培養細胞の生産物も抗発癌プロモーターとして、有望な対象となることが示唆される。
1) 昨年の本学会で報告したT.avellanedaeおよびT.argenteaの植物(母細胞)抽出液と同様に、今回、使用したそれぞれの植物より樹立したカルス(培養細胞)についても、EBウイルス(EBV)活性化抑制試験で、TPAによる活性発現に対して顕著な抑制効果を有することが認められた。
2) T.avellanedaeの抽出液から単離された種々の化合物中の一つである。ナフトキノン化合物Compound 1およびCompound 2(lapachol)についても、EBV活性化抑制試験を行なったところ強い抑制活性が認められ、抗発癌プロモーターとしての可能性が示唆された。
3) 上記の結果を基に、抗発癌プロモーターとしての活性評価を求めるために、マウス皮膚発癌二段階実験を行なったところ抽出液、lapacholの両被験物質ともにin vivoでも抑制効果を示すことから、これらが発癌抑制の面で有利な条件を備えているものと考えられる。
PAGETOP