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第48回 日本癌学会総会

第48回 日本癌学会総会

南米産ノウゼンカズラ科植物に含まれるEBウイルス活性化抑制および抗発癌プロモーター成分について
■1989年10月23日~25日 愛知県・名古屋市
334.水pmB9
「Components contained in Bignoniaceae plants from South America that inhibit EB virus activation and have antitumor-promoting activity」
Shinichi Ueda1) and Harukuni Tokuda2)
1): Faculty of Pharmaceutical Sciences, Kyoto University
2): Department of Microbiology, Kyoto University School of Medicine
南米に自生するTabebuia属植物は、古来より、南米においてその内部樹皮を飲料用として用い、種々の疾患に効果があるとされている。
今回、抗発癌プロモーターの検索を目的に、この植物成分のEBウイルス(EBV)活性化とマウス皮膚二段階発癌抑制について検討した。そのメタノールエキスは、EBV活性化試験でTPAに対し、10μgの濃度で50%以上の抑制効果を示した。また発癌二段階実験でもTPA単独塗布に比較して、50μg試料で抑制効果が認められた。このメタノールエキスを分画したところ、ナフトキノン含有画分等に極めて強いEBV活性化抑制を認める事ができた。この結果をもとに、有効成分含量の高い均一な材料を得ることを目的として、本植物をカルス化し、その産生する成分についても同様の試験を行ったところ、EBV活性化抑制を認めた。従ってこのTabebuia属植物は、母細胞ならびにカルスのいずれにも、抗発癌プロモーター成分を含有することが明らかとなった。以上の結果は、抗発癌プロモーション抑制活性物質を得る方法として、母細胞のみならずその培養細胞をも用いることの重要性を示唆するものである。
1)内 部樹皮を煎じて飲料用として用いられている植物のメタノールエキスと水エキスについて検討したところ、特にメタノールエキスに強いEBV活性化の抑制効果が認められ、この植物に含まれる成分に関して、生物活性としての有用性が示された。
2) メタノールエキスの分画をしたところ、数種のナフトキノンに強いEBV活性抑制を認め、その分離精製を実施中である。
3) これらのin vivoでの生物活性として、マウス皮膚発癌二段階実験を行ったところ、とくにメタノールエキスにTPAに対して抑制効果が認められ、抗発癌プロモーターとしての活性を有する成分であることが判明した。
4) 一方、この植物から有効成分含量の高い均一な成分を得ることを目的として、本植物のカルス化を試み、その産生成分についてEBV活性化抑制の試験をしたところ、母細胞と同様の抑制活性を示した。このことは、抗発癌プロモーター活性を示す物質を得る方法として、培養細胞を用いることについても、有用な方法であることを示すものである。
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