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第3回 米国国際がん予防学会

第3回 米国国際がん予防学会

マウス皮膚における一酸化窒素誘発発がんでの天然物由来化合物のがん予防活性について
■2004年10月16日~20日 米国ワシントン州・シアトル
「Chemopreventive activity of naturally occurring compounds on nitric oxide donors induced mouse skin carcinogenesis.」
H. Tokuda
Department of Biochemistry, Kyoto Prefectural University of Medicine, Kyoto, Japan,
本研究は一酸化窒素(NO)で誘発された発がんに対する抗酸化物、ポリフェノール、クルクミンとブラジル伝統生薬についてのがん予防作用について研究したものである。先の研究でわれわれはNOドナーの一種であるパーオキシナイトライト(PN)が、マウス皮膚発がん二段階試験で発がんイニシエーション作用を有することを報告した。雌SENCARマウス(6週令)でPNを一回処理、その一週間後よりTPAを週2回処理した。その結果20週目で腫瘍の発生率は100%、腫瘍数は5から6個であった。抗酸化物等をPN処理前後2週間摂取させ、その後は飲料水にて処理をおこなった。われわれの観察において、20週目で抗酸化物等の処理では腫瘍数がそれぞれ60%減少が認められた。これらのデーターは使用した化合物が感染、炎症で誘発されるであろう発がんに対し、がん予防効果のあることが示唆された。さらにこの結果の分子レベルでの解析として、たんぱく質発現の検討を行った。マウス皮膚上皮たんぱく質のウエスタンブロット法による解析として、PN処理による時間的、濃度的な変化をH-Ras, MEK, Raf-1, p38発現を検討したところ、天然物由来化合物の摂取ではPN誘発段階に対して顕著な影響を示した。これらのデーターではRas情報伝達系にPN誘発発がんに対し、がん予防作用の役割のあることが推定された。
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