第74回 日本細菌学会総会
生物製剤の抗腫瘍活性■2001年4月2日~4日 岡山県・岡山市
「Anti-tumor activities of biologics」
Takusaburo Ebina
Division of Immunology, Miyagi Cancer Center Research Institute
われわれは副作用のない薬剤を求めて統合医学の推進をかかげた。西洋医学での薬剤は科学構造が明確な精製物であるが、量を間違えると毒物となり、常に副作用がつきまとう。一方漢方薬は数種類の生薬を混合したもので何が効いているかわからない欠点があり、他の薬との併用で副作用が問題となる。
そこで西洋医学でも漢方医学でもない第3の医学・統合医学を考案した。
統合医学での薬とは、構造や機能が明確な有効成分を含む抽出物を考えている。
これはやっと機能性食品として認めはじめられたもので、すでに食品として受容されたものの抽出物なので、副作用がないのが特徴である。そこで今回は担子菌製剤、生薬、茶製剤についてその抗腫瘍効果を検討したので報告する。
担子菌カワラタケ抽出物PSKは蛋白質結合β-D-グルカンを主成分とする。担子菌アガリクス抽出物は蛋白結合α並びにβグルカンを主成分とする。一方担子菌シイタケ精製物レンチナンはβ-D-グルカンである。
マウス人工転移モデルにおいてPSK、アガリクス製剤は原発・転移両巣の増殖を抑えるのに対しレンチナンは全く抑えなかった。すなわち、抽出物の方が精製物より免疫能を増殖させて抗腫瘍効果を表すことがわかった。次にタマサキツヅラフジ抽出セファランチンと精製したアルカロイド剤を二重移植腫瘍系で比較すると、抽出セファランチンの方が抗腫瘍効果が優れていることがわかった。ノウゼンカズラ樹木抽出物タヒボ茶はナフトキノンを有効成分として含んでいる。タヒボ茶熱水抽出物を二重移植腫瘍系で調べると抗腫瘍効果があることがわかった。そこでPSK、アガリクス製剤、セファランチン、タヒボ茶の腫瘍細胞浸潤抑制能、腫瘍細胞に対するアポトーシス誘導能、血管内皮細胞に対する増殖抑制能を比較した。