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第50回 日本癌学会総会

第50回 日本癌学会総会

南米産薬用植物に含まれる抗発癌プロモーターの効果
■1991年9月10日~12日 東京都
289.木pmL
「Effects of antitumor promoters contained in medicinal plants from South America」
Shinichi Ueda1)
and Harukuni Tokuda2)
1): Faculty of Pharmaceutical Sciences, Kyoto University
2): Department of Biochemistry, Kyoto Prefectural University of Medicine
前回の本学会において我々は、その生体における効果としての有用性から、主に飲料用(茶)として用いられている南米産のタベブイア属植物の一種(Tabebuia avellanedae)の抽出物、ならびにそれより誘導された植物培養細胞の産生する部分について、発癌予防の観点から抗発癌プロモーター活性に関する報告を行った。
今回は、その植物試料より抗発癌プロモーター活性を有する化合物の分析を目的として、その検討を行った。効果を示した粗抽出物から単離を進めたところ、抗発癌プロモーター活性を有する化合物として、ナフトキノン系化合物である。
lapacholおよびCompound。を得た。これら化合物は、in vitroにおけるEpstein-Barrウイルス(EBV)活性化抑制試験ならびにin vivoのマウス皮膚発癌二段階試験においても顕著な抑制効果を示したことで、飲料用として用いられていることから、この植物の示す生理活性としてその有用性を示唆するものである。
1) 南米において主に飲料用としてその樹皮を用いるタベブイア属植物(Tabebuia avellanedae)について、その抽出物に抗発癌プロモーターとしての活性を検討するため、EBV活性化抑制試験を行ったところ顕著な抑制効果を認めた。
2) 上記の植物について、有効成分を長期間、安定して得ることを目的にその植物のカルス化を行い、その生産物についても同様の試験をしたところ、同じく抑制効果が認められた。
3) 1、2、において得られた抽出物より化合物の単離を進めたところ、抗発癌プロモーター活性を示す化合物として、ナフトキノン系のlapachol、CompoundⅠの2種の化合物を得た。これらの化合物は、in vivoのマウス皮膚発癌二段階試験でも、TPAに対して強い発癌プロモーションの抑制を示すことから、この植物に抗発癌プロモーター活性を有する物質の存在が認められた。
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