症例1.食道がん症例
病 名:食道がん
ステージ:ⅠB期(TNM分類:T2N0M0)
年齢・性別:50歳代男性
タヒボ用量:タヒボエキス末×12g/日
*タヒボエキス末:タヒボ樹皮粉末を熱水抽出後、スプレードライで乾燥し、造粒加工したもの。
エキス末2gは樹皮粉末5gに相当。
治療と病状の経過
◆2003年12月26日:タヒボ摂取開始
◆2004年1月13日:タヒボ摂取開始19日目、すでに縮小が始まる。
◆2004年2月10日:タヒボ摂取開始後47日目、4ヶ所で腫瘍退縮。
◆2004年3月18日:タヒボ摂取開始後84日目、すべての腫瘍が退縮。
再発予防と健康維持を兼ねて、タヒボエキス末4g/日の飲用を続ける。
患者のたっての希望で、タヒボ投与以外の施療はしていない。
その後5年間追跡調査したが、食道がんの再発はみられていない。
担当医のコメント:本件は非常に特殊な例で、できれば西洋医学的手法と併用してほしい。
胸部食道(A)から腹部食道(D)にかけての4箇所の断面を、
2003年12月から2004年3月にかけて、20日~30日間隔で撮影した。
症例2.喉頭・下咽頭がん症例
病 名:喉頭・下咽頭がん
ステージ:Ⅱ期(TNM分類:T2N0M0)
年齢・性別:70歳代男性
タヒボ用量:タヒボ抽出液×40g/日
治療と病状の経過
◆2004年4月頃:喉に引っかかるような違和感あり、そのまま放置。
◆2004年11月20日:内視鏡検査で異常を確認、総合病院を紹介。
タヒボ摂取開始:10g/日
◆2004年12月8日:
生検の結果、悪性腫瘍の診断。医師から入院の上放射線照射と抗癌剤の投与を勧められるが固辞、通院にて放射線治療を行う。
タヒボ増量摂取:40g/日
◆2004年12月14日:放射線治療開始。
◆2005年1月10日:腫瘍が50%退縮。
◆2005年4月6日:腫瘍が全て消失。
◆2006年5月15日:発症より1年6ヶ月
現在、再発予防のためタヒボ10g/日を継続摂取。
赤線内の黄色部が腫瘍部分。腫瘍が50%に退縮している。
症例3.上顎がん症例
病 名:上顎がん術後再発
ステージ:ⅣB期(治療不能の末期がん)
年齢・性別:70歳、男性
タヒボ用量:タヒボ6倍エキス末×2g/日
*タヒボ6倍エキス末:タヒボ樹皮粉末を熱水抽出後、抗がん成分(ナフトキノン成分NQ801)をフラクション抽出し、粉末の6倍相当量を添加したもの。6倍エキス末2gは、樹皮粉末30gに相当。
治療と症状の経過
◆上顎がんの手術後再発、余命半年と宣告。治療中断。
ゲルソン療法による食事療法とビタミンC大量投与療法を実施。
◆2008年8月27日:ゲルソン療法+大量ビタミンC投与療法開始、2回/週。
◆2008年10月9日:タヒボ摂取開始、6倍エキス末×1包。(粉末換算30g/日)。
◆2009年1月:MRI検査実施、腫瘤の大きさが前回と変化なく、腫瘍の増殖停止が画像的に認められた。
◆2009年1月8日:タヒボ増量摂取、6倍エキス末×3包(粉末換算90g/日)。
◆2010年2月:MRI検査所見、腫瘍の縮小を確認。
◆2010年3月:腫瘤のガドリニウム染色の程度は低下、腫瘤活動性の低下ないし血流低下が考えられる。
腫瘍マーカー:ICTPは一旦増加してから急激に減少、SCCは継続的に減少。
病理所見:顕微鏡写真により、がん細胞の細胞質が破壊され線維化あるいは石灰化している様子を確認。
抗がん成分のNQ801により、損傷を受けたがん細胞の周囲にCD4,CD8陽性T細胞が誘導・浸潤されることが示唆された。
◆2009年4月28日:G/L比が減少し、副交感神経優位に転じる。QOLは良好。
口腔内所見:ゆっくり進行していた腫瘍は、タヒボ6倍エキス末を増量後3か月で、目視でも縮小が認められた。
腫瘍増殖によりふさがっていた左眼が、腫瘍縮小により開いた。
基準値:2.05±0.91。
白血球成分の内、顆粒球(Granulocyte:G)は好中球、好酸球、好塩基球で構成され交感神経の支配下にあり、リンパ球(Lymphocyte:L)はBリンパ細胞、Tリンパ細胞、NK細胞などがあり、副交感神経が支配している。
G/L比が低値:副交感神経が優位。QOLは良好でがんストレスが少ない。
G/L比が高値:炎症やがんの悪化、リウマチなどの自己免疫疾患が疑われる。
2008年5月19日及び2008年10月9日のMRIと比較しました。
それぞれの撮影の折に若干撮影角度が違うので腫瘤sizeの厳密な比較は困難ですが、以前の検査と比べて殆ど変化はありません。
腫瘤のenhancementの程度は前回よりも淡いようです。
【Impression】
主として鼻中隔に残存する腫瘤の大きさにinterval changeはないと思われます。
引き続き経過を見て下さい。
2009年3月24日のMRIと比較しました。
以前から知られている腫瘤の大きさに変わりはありません。しかしながら腫瘤のガドリニウムによる染まりの程度は今回明らかに低下しています。腫瘤の活動性の低下ないし血流の低下が考えられます。
【Impression】
以前から知られている鼻腔及び右眼窩内腫瘤の大きさに変化はありません。しかしながらガドリニウムによる腫瘤の染まりは前回よりも明らかに低下しています。
追伸:ガドリニウム清注はスムーズに行われました。造影剤の漏れはありませんでした。
活発な癌細胞が、細胞質を放出して死んでいく様子。がん細胞は細胞骨格だけを残し線維化した。
抗がん成分NQ801により損傷を受けたがん細胞の周辺に浸潤するヘルパーT細胞とキラーT細胞。
まとめ
6倍エキス末摂取中、生化学的や臨床的に異常所見は見られなかった。
腫瘍マーカー(ICTP,SCC)は6倍エキス末摂取後低下し(ICTPは一旦増加後低下)、臨床的にもみて腫瘍は縮小した。
6倍エキス末6g/日(粉末換算90g/日)で腫瘍の活動性の低下が示唆された。
6倍エキス末6g/日で副交感神経優位(G/L比の低下)に転換した。
NQ801の用量依存性(Dose dependence)が示唆された。
抗腫瘍効果は6倍エキス末×6g/日と高濃度ビタミンC点滴療法の併用時で著明に見られた。
食事療法とビタミンC点滴療法を併用継続しているが、腫瘍は約半分に減少中。
症例4 重複がん(膵臓がんと進行性大腸がん)症例
日本補完代替医療学会誌(Vol.8 No.2 2011)より抜粋 報告者:武田義雄(武田内科胃腸科医院)
【要旨】南米産樹木タヒボ茶は、Tabebuia avellanedaeの樹皮の熱水抽出物である。手術不能膵臓がんと進行大腸がんの重複がん症例に対するgemcitabineとTS1による化学療法施行時に、抗腫瘍活性を持つNQ801の成分を6倍増量したタヒボ茶を併用摂取する症例を経験した。結果は膵臓がんと大腸がん共に著明に縮小し、Partial Response (PR)であった。今後更にFRX6と化学療法との併用効果は検討されるべきであろう。
1. はじめに
南米産樹木茶タヒボ(Taheebo) は、ノウゼンカズラ科の学名Tabebuia avellanedaeの樹皮の熱水抽出物で、南米ブラジルでは民間治療薬として種々の疾患に対し広く用いられている1)。上田らは、タヒボ茶抽出物ナフトフランジオンがTPA誘発EBウイルス初期発現の活性化を抑制し、in vitroで、発癌プロモーター活性を阻害することを報告している2)。特定地域に自生する天然木
Tabebuia avellanedae (Taheebo) から抽出された、生理活用の強い化学構造式の5-hydroxy-2-(l-hydroxyethy1)-naphtho[2,3b ]furan-4,9-dione(NQ801) がその有効成分である2,3)。
今回gemcitabineとTS1の化学療法に、NQ801の濃度を6倍に高めたタヒボ抽出物)を併用摂取したところ、手術不能膵臓がんと大腸がんの重複がんが共に退縮した症例を経験したので報告する。
2. 症例
【58歳男性】
病歴:平成20年11月10日:某病院で手術不能な膵頭部がんStage Ⅳbと診断された。上行結腸に進行大腸がんも存在する重複がん症例であった。
◆平成20年11月下旬からgemcitabineを3週間の内2回摂取、1回休みで摂取し、TS1を1日4カプセル2週摂取し、1週休む治療を開始した。その後も化学療法を継続した。
◆平成20年11月28日:腫瘍マーカーCA19-9は895U/mlで、膵頭部に不整な低エコーを呈し、大きさが32.4×35.7mmの膵がんだった。
◆平成20年12月14日から平成21年6月23日まで、患者が取り寄せ、タヒボを摂取開始。
◆平成20年12月27日:CA19-9は42U/ml。
◆平成21年1月24日:膵頭部腫瘍は30.4×21.5mm。
◆平成21年2月28日:膵頭部腫瘍は15.8×13.4 mm。
◆平成21年3月10日:CA19-9は4.9U/mlと正常化した。
◆平成21年3月28日:膵頭部腫瘍は13.5×10.5mm。
◆平成21年5月12日:CA 19-9は4.4U/ml。
◆平成21年5月30日:膵がんは腹部超音波検査で、確認出来なかった。
◆平成21年6月:CTScanで膵臓の腫瘍をほとんど指摘出来ず、殆どComplete Response(CR)に近いPartialResponse(PR)とした。大腸がんも痕跡程度になる程著明に縮小しPRとなった。
3. 結果
gemcitabineとTS1による化学療法中に、タヒボ茶を併用したところ、手術不能膵臓がんと進行大腸がんの重複がんが共にPRとなった1例を経験した。
4. 考察
有効成分NQ801 を含有する Tabebuia avellanedae(Taheebo) は、癌細胞に対する直接作用として、選択毒性、アポトーシス誘導、血管新生阻害や転移浸潤能抑制があり4.5)、間接作用として免疫賦活作用が報告されている4.5)。タヒボ茶服用後に末期の肝細胞がんが消失した例も報告されている6)。 Sudo7) らによると、gemcitabineとTS1による進行膵臓癌のPhase1試験で、21例の内2 (9.5 %)例でPR、9 (43 %)例で stable disease(RECIST:Response Evaluation Criteria In Solid Tumors)
であり、CA19-9が50%以上低下したのは18例の内5例(28%) であった。
43例の大腸がん患者にoxaliplatinとgemcitabineの併用投与でPRは1例だった8)。大鵬薬品によるとTS1による大腸がんのPhase1試験ではCRはなく、129例中42例(32.6%) がPRであった。一方、NQ801の類似化合物であるナフトキノン系化合物のβ-ラパチョンは、taxolと併用すると相乗効果の抗腫瘍効果を持つが、マウス自身は副作用がない事が報告されている9)。
今回経験した手術不能膵臓がんと進行大腸がんの重複がん腫瘍退縮はgemcitabineとTS1による所が大きいと思われるが、FRX6との相乗効果も否定できない。事実、β-ラパチョンとtaxolの抗腫瘍効果が相乗的である事9)は、そのFRX6の化学療法との相乗効果を持つ可能性を示唆する。NQ801は日本の学者が発見した物質であり2.3)、今後は様々な臨床試験が行われる
ことが期待される。
参考文献
1)ウォルター・ラメダス・アコーシ、「奇跡の薬木タヒボ」、神戸新聞総合出版センタ一、1988:482)Ueda S ,Umemura T ,Dohguichi K,et al. Production of antitumor promoting furanaphthoqinones inTahehuia Avellanadae cell culture,Phytochemistry
1994;36:323-325.
3 )平田章二、がん統合医療におけるサプリメントのDose dependenceとその安全性の考察、南米薬用植物タベブイア アベラネダエ(通称タヒボ)の使用経験から、国際統合医療学会誌、2010;2 (1): 119-127
4)海老名卓三郎、南米産樹木茶タヒボ抽出物の抗腫瘍効果、Biotherapy 1998;12:495-500
5)海老名卓三郎、南米産樹木茶タヒボ抽出物の抗腫瘍効果―他生物製剤との比較
Biotherapy 2002;61:321-327.
6)Takeda Y,Togashi H,Shinzawa H, et al.
Spontaneous regression of hepatocelular carcinoma andreview of literature.J Gastroenterol Hepatol 2000;15
(9):965-966.
7)Sudo K,Yamaguchi T,Nakamura K,et al.
Phase Ⅱ study of S-l in patients with gemcitabineresistant advanced pancreatic cancer. Cancer Chemother Pharmacol 2011;67 (2):249-254.
8) Shibata S,Chow W,Frankel P,et al.
A phase Ⅰ study of oxaliplatin in combination with gemcitabine:correlation of clinical outcome with gene expression. Cancer Chemother Pharmacol 2007;59
(4):549-557
9)Pardee AB,Li YZ,LI CJ.Cancer therapy with betalapachone.
Curr Cancer Drug Targets2002;2(3):227 -242.