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第14回 日本補完代替医療学会④

第14回 日本補完代替医療学会④

がん統合医療における薬用植物タヒボの臨床的検討―免疫学的そして病理組織学的検索―
■ 2011年11月5日~6日 石川県・金沢市
「AClinical Examination of the Medicinal Plant “Taheebo” in Integrated Cancer Medicine –An immunological and histopathological investigation–」
Shoji Hirata, MD (Hirata Oral and Maxillofacial Surgery and Oncology, Cancer Village Sapporo)
近年がん治療において、現代西洋医学に自然治癒力を増強させることを目 的に、サプリメントやいろいろな補完代替医療を併用する「がん統合医療」が 注目されている。なかでも、南米ブラジル・アマゾン川流域に生育する薬用植 物タベブイア・アベラネダエ(通称:タヒボ)から分離・抽出された機能性成分 NQ801は、癌や生活習慣病に対しての有用性を示す数多くの研究結果が報 告され、さらに正常細胞に対する安全性も確認されている。NQ801は、タベブ イア・アベラネダエ(以降TAと記述)の樹皮(靭皮部)に含有される天然の植 物色素ナフトキノン類の一種で、とくに抗がん作用が注目されており、がん細胞 に対する①直接作用(アポトーシス作用)と②間接作用(免疫賦活作用)、そ して③補助作用(抗酸化作用、鎮痛・鎮静作用)が研究・報告されている。
そこで今回、当院でNQ801成分を含有するTAエキス末(樹皮を熱水抽出 したエキスのスプレードライ加工品)を使用する機会を得たので、NQ801が「が ん統合医療」にもたらす意義と役割について、臨床的な検討を行った。
方法は、がん統合医療を目的に①術前、②術後、そして③進行がん患者(緩 和医療)に、TAエキス末と最近開発されたTA強化エキス末を飲用させ、その 臨床効果を調べた。TA強化エキス末は、TAエキスにNQ801フラクション分画 を添加し、NQ801の含有量が6倍となるよう強化したエキス末品である。その 結果、TAエキス末(NQ801)を術前治療として低用量抗がん剤と固形がんに 対し併用した場合、手術摘出組織の病理学的検索からNQ801は、DNAが損 傷を受けたがん細胞周囲にCD4,CD8陽性T細胞を誘導・浸潤させることが示 唆された(抗腫瘍効果:アポトーシス作用・免疫賦活作用)。また抗がん剤を使 用している間も、副作用や食欲不振は見られなかった。
さらに術後に用いた場合、免疫増加や抗酸化作用による再発や転移予防 の抑制も示唆され、再発予防としての使用意義も大きいと思われた。進行が ん患者においても緩和医療やPalliative Therapyの一つとして、副作用を軽減 しながら長期間の抗がん剤治療を可能にする役割も示唆された(腫瘍との共 存)。また、今回使用した両エキス末を比べると、TA強化エキス末の方がより 抗腫瘍効果が見られ、Dose dependence性も確認された。
また高齢者がん患者に対し、TA強化エキス末を単独飲用させ、その後手 術を行った。その有効性を検索するため、病理組織学的検査を行った結果、 がん細胞と間質との境界に強い帯状のリンパ球浸潤が見られた。さらに同部 に免疫染色を行ったところ、がん細胞の周囲にCD4とCD8陽性細胞障害性T 細胞が多数浸潤していた。割合はCD8陽性T細胞の方が強く、そしてがん胞 巣の中へ浸潤していた。血液学的にも、リンパ球が増加していた。がん患者 へのNQ801単独飲用でがん細胞周囲に細胞障害性T細胞が浸潤し、抗腫 瘍効果が見られた症例であった。他のNQ801単独飲用症例にても同様の所 見がみられた。
以上より、有用成分NQ801の「がん統合医療」における使用意義は大きく、 その役割も臨床研究が進めばさらに増えるものと思われる。今後各方面で同 様の臨床研究が実施されることを期待したい。
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