第127年会 日本薬学会①
ブラジル原産Tabebuia avellanedea由来成分の生物活性■2007年3月28日~30日 富山県・富山市
「Biological activity of the constituent from Brazilian plant Tabebuia avellanedae」
Masafumi Kaneko, Mitsuaki Yamashita and Akira Iida (Faculty of Pharmacy, Takasaki University of Health and Welfare), Harukuni
Tokuda and Hoyoku Nishino (Department of Biochemistry, Kyoto Prefectural University of Medicine)
【目的】
T. avellanedaeは、ブラジルから北アルゼンチンに至る南アメリカが原産の ノウゼンカズラ科の樹木である。古代インカの時代ではタヒボと呼ばれ、様々な 病気に効く民間薬として使用されていたと伝えられている。近年、本植物 ががんに効果のある医薬資源として着目されて以来、その成分研究が進み、 ナフトキノン類やアントラキノン類が有効成分として報告されている。その中 でも特に、5-hydroxy-2-(1-hydroxyethyl)-naphtho[2,3-b]-furan-4,9-dione は様々な腫瘍細胞に対して強力な細胞毒性を示すことと同時に、強力な がん予防効果を持つことが知られている。本研究では、化学合成した2-(1- hydroxyethyl)-5-hydroxynaphtho[2,3-b]furan-4,9-dioneおよび本植物に 含まれる成分の生物活性評価を行った。
【方法】
細胞毒性試験はヒト前立腺がん細胞PC-3、ヒト肺がん細胞A-549、ヒト乳 がん細胞MCF-7を用い、がん予防効果はRaji細胞を用いたEpstein-Barr ウイルス初期抗原(EBV-EA)の発現抑制を指標に検討を行った。さらに、 がん予防効果についてはマウスに対するDMBAとTPAによる2段階の皮膚 カルシノーマ形成における抑制効果を評価した。
【結果と考察】
合成2-(1-hydroxyethyl)-5-hydroxynaphtho[2,3-b]furan-4,9-dioneは 各種がん細胞に対して、マイトマイシンと同程度の細胞毒性を示した。また、 本植物より得られたナフトキノン類は、EBV-EA発現を抑制することが明らかと なった。さらに、合成2-(1-hydroxyethyl)-5-hydroxynaphtho[2,3-b]furan- 4,9-dioneはマウスを用いた実験においても抗発がん作用を示した。これらの ことより、2-(1-hydroxyethyl)-5-hydroxynaphtho[2,3-b]furan-4,9-dioneは がん化学予防効果を持つ医薬素材として有望であると考えられる。