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第95回 米国癌学会

第95回 米国癌学会

天然物由来化合物による一酸化窒素誘発発がんに対する予防とMAPキナーゼ情報伝達系の役割
■2004年3月27日~31日 米国フロリダ州・オーランド
「Prevention of Nitric Oxide Donors-Induced Carcinogenesis by Naturally Occurring Compounds and Its Evaluation of Signaling Pathway」
H. Tokuda
Department of Biochemistry, Kyoto Prefectural University of Medicine, Kyoto, Japan,
当実験は天然物由来化合物であるクルクミンやタベブイア・アベラネダエ抽出による一酸化窒素誘導発がんに対するがん予防効果の検討を行ったものである。これらの試験はパーオキシナイト(PN)処理の前後にこれら天然物由来化合物を作用することで、その効果を検討するとともにウエスタンブロット法にて情報伝達系での検討も併せて行った。これまでの基礎検討により、最近の研究でこれらの化合物がPNにより誘導される発がんイニシエーション作用に対して抑制効果を示すことが判明した。雌SENCARマウスに一回だけPNを塗布して、続いてTPAを20週間を塗布、腫瘍の発生を観察した。発生した腫瘍率は100%、発生数は5から6個のパピローマを認めた。天然物由来化合物を2週間、発がんイニシエーション前後に自由摂取させた場合、腫瘍数は60から70%に減少した。これらの効果をより詳細に検討するために、タンパク質発現レベルでの検討を進めた。ウエスタンブロット法にて塗布した皮膚タンパク質を抽出し、検討したところ発がん過程で重要な伝達系であるH‐ras、MEK、p38のMAPカイネース系で時間と濃度の異なりで作用することが判明し、がん予防作用としてこれら化合物が重要な作用機序を示すことが示唆された。
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