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第4回 高専シンポジウム

第4回 高専シンポジウム

タヒボ茶由来吸湿・保湿成分の部分精製とその性質
■1999年1月23日 三重県・鈴鹿市
「Partial purification of TAHEEBO tea-derived components possessing moisture absorption and retention abilities, and their characteristics」
Tomoyuki Hashimoto1), Hiroshi Shimofuruya1), Yoshihiko Kunieda1), Fuminori Suzuki2), and Jiro Suzuki3)
1) Suzuka National College of Technology
2) Suzuka University of Medical Sciences
3) Toyohashi University of Technology
【緒言】
タヒボ(Tabebuia avellanedae Lorents and Griseb)は南米のブラジル近辺に生育するノウゼンカズラ科タベブイア属の植物であり、タヒボ茶として南米インディオの間で昔から健康維持のため飲用されてきた。我々はこのタヒボ茶からとれる水抽出物に保湿能のあることを発見し「科学と工業化学」に報告した1)。本実験では、タヒボ茶から得られるタヒボ茶水抽出物をエタノール沈殿法で部分精製を行い得られた成分の吸湿能・保湿能について検討したので報告する。
【実験方法】
タヒボ樹皮50gに蒸留水1000mlを加え煮沸水溶中で1時間攪拌抽出しブフナーを用いて吸引濾過した後、その濾液を凍結乾燥し得られた茶褐色の乾燥粉末をタヒボ茶水抽出物とした。得られたタヒボ茶水抽出物4gに蒸留水100mlを加え30分攪拌した後、遠心機で沈殿を除去し、その上澄み液にエタノールを加え可溶性成分を沈殿させた。遠心機により上澄み液と沈殿に分け上澄み液は凍結乾燥を行った。これらの過程で得られた前者を成分1、後者を成分2として、吸湿性試験及び保湿性試験を行った。ただし対象として、尿素、D-ソルビトール、グリセリンを用いた。
吸湿性試験は、底部に塩化マグネシウム飽和溶液(相対湿度:31.9%)、硝酸ナトリウム飽和溶液(相対湿度:61.8%)、硝酸カリウム飽和溶液(相対湿度91.0%)をそれぞれ入れたデシケーター内に試料を置き、37℃の恒温器内に保管し、各試料の重量を2、4、6、8、24時間後に測定して吸湿率を求めた。
保湿性試験は、底部にシリカゲルと硝酸ナトリウム飽和溶液(相対湿度:64.8%)をそれぞれ含ませたデシケーター内に試料を置き20℃の恒温機内に保管し、各試料の重量を2、4、6、8、24時間後に測定して水分残存率を求め指標とした。
【結果・考察】
吸湿性試験及び保湿性試験において、各相対湿度における5種類の試料の吸湿率と水分残存率の経時を求めた。成分1の吸湿能は、相対湿度61.8%と91.0%でも高い値を示し、相対湿度64.8%の保湿性試験においても吸湿性を示すことから、極めて強い吸湿能を持つことが明らかになった。成分2の吸湿能は、相対湿度の変化にあまり影響を受けていないことから相対湿度に依存しておらずあまり強い吸湿能を持たないと言える。尿素とD-ソルビトールの吸湿能は相対湿度に大きく依存しており、グリセリンの吸湿能は時間とともに大きく増加していることから強い吸湿性を持つことがわかった。相対湿度64.8%において成分1は水分残存率が時間とともに増加しており強い吸湿能を持つことが示された。成分2の保湿能は相対湿度64.8%では高い値を示したが乾燥条件下では時間とともに急激に減少していることから比較的低いことがわかった。
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