幹細胞の開発とがん学会2011
4ニトロキノリン、グリセロール誘発発がんに対する、ブラジル産健康茶による予防作用■ 2011年3月3日~6日 カナダ・バンクーバー
「The tea type Brazilian herb prevent lung cancer induced by 4-nitroquinoline 1-oxide and glycerol in mice」
Harukuni Tokuda and Nobutaka Suzuki (Kanazawa University , Graduate School of Medical Science), Akira Iida (Faculty of Agriculture, Kinki University
肺がんは日本では他の臓器に比較して最も罹患率の高いがん であり、われわれの生活環境において、その対策が急務となって いる。いわゆる健康茶というものが多くの実験データー並びに論文 により、種々のがんに対して予防作用を示すことが知られているこ とから 健康茶がそこに含有する成分によりがん予防作用として、有益 なものと考えられている。
タベブイア・アベラネダエ(TA)というノウゼンカズラ科に属する伝 統薬用植物は、アルゼンチン北部からブラジルに生育する約500年 前より種々の疾患に効能があるとされているもので、この植物の内 部樹皮はアジアや日本において、健康茶として使用されている。以 前のわれわれの研究において、このNQ801というナフトキノンタイ プの化合物を含有する抽出物はがん予防物を目的とした細胞を 用いたTPA誘発試験、並びにTPA誘発マウス皮膚二段階試験に おいて、抑制作用を示した。今回さらなるこの研究の進展として、4 NQOを発がんイニシエーション、グリセロールを発がんプロモーショ ンとする肺発がんモデルの試験を進めた。メスSENCARマウスに オリーブ油に溶解した4NQOを15匹のマウスに接種し、その5週間 後より、8%グリセロールに0.0025%の濃度でTAを添加した溶液を 25週間自由飲水させた。実験開始 週間後、剖倹を行って、採取 した肺に発現した腫瘍を測定し、その一部の病理検査も進めた。
陽性コントロールは発生率が86.6%で45の腫瘍が認められた。一方、 TA添加個体は発生率は33.3%で腫瘍数は9に減少した。これら の腫瘍は光学顕微鏡を用いた観察で、アデノーマーと確認できた。
これらの結果は肺がんモデルで、TAの抑制作用が評価されるとと もに、ウエスタンブロット法で、この機序がMAPK伝達系を介する作 用であることも確認された。さらに重要なこととして、このTAの30週 間の摂取において各個体に顕著な毒性は認められなかった。これ らの知見から、このようなお茶様の薬用植物が、MAPK伝達系によ りがんに対し予防剤として活性を有することが示された。