環太平洋国際化学会議2010
ブラジル原産Tabebuia avellanedea 由来活性成分の立体選択的合成および生物活性研究■ 2010年12月15日~20日 米国ハワイ州・ホノルル
「Stereoselective synthesis and biological evaluation of bioactive constituents from the Brazilian plant Tabebuia avellanedae」
Kazunori Ueda and Akira Iida (Faculty of Agriculture, Kinki University), Mitsuaki Yamashita and Masafumi Kaneko (Faculty of Pharmacy, Takasaki University of Health and Welfare), Katsumi Nishimura (Organic Chemistry, Kobe Pharmaceutical University), Harukuni Tokuda and Nobutaka Suzuki (Kanazawa University , Graduate School of Medical Science) others
ノウゼンカズラ科Tabebuia avellanedae (Taheebo)から単離さ れた(-)-5-hydroxy-2-(1-hydroxyethyl)naphtho[2,3-b]furan-4,9- dione (1a)などのナフトキノン類に着目し研究を行っている1。化合 物1a及び位置異性体である1bは天然からはごくわずかしか得ら れてこないために不斉合成法の開発を行った後に、抗腫瘍活性を 中心とした詳細な生物活性評価を行うこととした。
文献に従い市販の1,5-Dihydroxynaphthalene (2)を酸化して 5-hydroxy-1,4-naphthoquinone (juglone)に変換した後、ジメチ ルアミンを用いて酸化的アミノ化を行うと位置異性体が各々48%と 10%で得られた。酸加水分解、ヒドロフラン環構築、MnO2酸化を 経て、各々の異性体をケトン体3へと変換した後に、野依還元する ことで1a及び1bの立体選択的合成を達成した(89-97%収率、96- 97%エナンチオマー過剰率)。合成して得られた光学活性体1a, 1b、 ケトン3a, 3bのヒト腫瘍細胞に対する細胞毒性、がんの化学予防 効果及び抗菌活性を調べた。化合物1aは数種のヒト腫瘍細胞株 に対して強力な細胞増殖抑制活性を示したが、ヒト正常細胞に対 する効果はマイトマイシンのそれよりずっと低かった。一方、そのエ ナンチオマーの活性は1aより弱かった。また、1bの細胞増殖抑制 活性は著しく低下した。これら結果に加え、1aは真菌とグラム陽性 菌に対して中程度の抗菌活性を示すことが明らかとなった。1aの 前臨床試験の結果も併せて報告する。