第98回 米国癌学会
後期段階生成物誘発発がんに対する天然資源物の発がん予防活性■2007年4月14日~18日 米国カリフォルニア州・ロサンゼルス
「Chemopreventive activity of natural source compounds against advanced glycation endproduct induced carcinogenesis」
Harukuni Tokuda and Hoyoku Nishino (Department of Biochemistry, Kyoto Prefectural University of Medicine), Akira Iida (Faculty of Pharmacy, Takasaki University of Health and Welfare)
後期段階生成物(AGE)は、一般的にがんを含む種々の病的 過程で認められ、とくに糖尿病疾患で増加することが知られている。
われわれの研究目的の過程で、ヒトに関連した発がん物質に対する がん予防効果として、ヒトアルブミンとグルコース混合物での後期 段階生成物(HAGE)を発がんイニシエーションとする試験系で、 マウスにおいて顕著な発がんイニシエーション作用を認めた。
SENCARマウスに100μgHAGEを塗布し、1μg、TPAの塗布で プロモーションを20週間週2回行う。最近、われわれは天然色素で あるベタニンに関して、HAGEに対して抑制効果を認めた。今回の 研究において、HAGEを処理する1週間前後に同様にブラジル産 薬用植物であるタベブイア・アベラネダエの内部樹皮粉末を摂取し、 その効果を検討した。タベブイア・アベラネダエは、南米のブラジル からアルゼンチン北部に自生する、種々の疾患に対して用いられた、 よく知られた伝統生薬である。これらを用いるとマウスでの腫瘍 の発生を遅らせ、発生率、数においても減少することを認めた。
これらを飲料水として使用すると、それぞれ発生率で30%から 40%の減少、数においても50%から60%を認めた。この抑制に 関する明確な機序の解析として、ウエスタンブロット法を用い、定量、 定性的にMAPK経路について検討したところ、時間経過によりこの 経路において変動が認められた。この成果はこれらの化合物が、 がん予防剤の作用について可能性があり、またその抑制機序に 関して、興味のある結果を示している。